2015年11月5日木曜日

私のための芸能野史 小沢昭一著(ちくま文庫)

我が家に獅子舞が来たのはいつのことだったか。
確か30年前くらい?
以後、来ることはなかったのだが、この「断絶」も本書を読むと得心がいく。
要は伝承の困難ということなのだが。
門付芸、女相撲、浪花節、足芸、ストリップ・・・・・
民衆の伝統芸能といっても、博物館入りするような代物ではない。
いや、そのような扱いを拒絶されるような代物ばかりをこの本では扱う。
キーワードは遊芸稼人だ。
芸があり、生計が成り立つ、というのは基本線であるにしても、
アソビがない芸人はバランスが悪い。
旅の芸人はキビシサツラサセツナサばかりでは、ない。
そこに遊び半分がなければすこぶるバランスを欠くのだ。
とはいえ、このような芸人たちへの世間の目、卑賤視への配慮も忘れてはいない。
もと「芸人」たちは親族に気遣い、世を忍んで余生を送るものばかり。
そこにどう、アプローチをつけ、芸談を引き出すか。
小沢のインタビューそれ自体がひとつの芸なのである。

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