2016年1月24日日曜日

『沖縄戦後史』 櫻澤誠著(中公新書)

358頁。新書にしては厚い。
1945年の沖縄戦終結から2015年までを扱う。

「沖縄問題」はとかく先入観をもたれがちである。近年でも、沖縄経済は基地に依存している、あるいは、結局沖縄は「補償金」をつりあげようとしているだけだ、という主張がある。さらには「オール沖縄」は全基地撤去を要求している、中国に近づいている、といったものまである。」「本書で明らかにしたように、こうした先入観はすべて誤りである。たとえば、保守勢力は一定程度の基地は容認しつつも基地経済の弊害を懸念し、50年代以降、一貫して自立経済の樹立を主張してきた。先入観がなくなればすぐに答えが見つかるわけではない。けれども複雑に絡み合った糸を解きほぐすことで、ひとまず解決の糸口を見つけやすくなるだろう」(あとがき より)

1978年生まれの若手研究者による著作。「思い入れ」過剰な視点から語られがちな領域であるため、本書のような冷静な視点からの歴史叙述はきわめて有益だ。 

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